渋谷シネマヴェーラで加藤泰傑作選『瞼の母』『男の顔は履歴書』を観る。
いずれも90分未満なのに濃密である。
『瞼の母』は長谷川伸原作の有名な任侠時代劇で、銀幕スターの萬屋錦之介の番場の忠太郎、加藤泰監督の傑作であった。
日本人のDNAが騒ぎだし、うるうるきました。
ここぞというシーンでは、ローアングルの長回しが、ぐっと感情を引出して、演出の見事さに唸りました。
監督・脚色/加藤泰 原作/長谷川伸 撮影/坪井誠 美術/稲野実 音楽/木下忠司
出演/萬屋錦之介・松方弘樹・木暮実千代・沢村貞子・中原ひとみ・浪速千栄子 1962東映(83分)
- 出版社/メーカー: 東映ビデオ
- 発売日: 2006/04/21
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『男の顔は履歴書』は、タイトル通り安藤昇の横顔のアップで始まり、本物のスカーフェイスを見せる。
これは安藤昇の自伝と思いきや違ってた。
『仁義なき戦い』の前日譚のようだ。
菅原文太も狂犬のようにキャンキャン闇市で暴れ廻っている。
戦後の闇マーケットを巡り、町内会と第三国人やくざとの抗争が回想形式で現在と行き来する。
第三国人という表現と描き方の激しさが気になったが、現在と過去に行きつ戻りつするなかで、在日問題がずっと内包していることが判ってくる。
戦後直後の連合国軍占領下にあっては、このような対立はあったようでもあり、第三国人という言葉はもはや死語となったが、石原都知事が意図的に使うのとは訳が違うようだ。
菅原文太もこの役によって役回りを知り、東映に移籍したとのことで、冒頭の感想もあながち外れてはいないようだ。
監督/加藤泰 脚本/星川清司 撮影/高羽哲夫 美術/梅田千代夫 音楽/林光
出演/安藤昇・伊丹一三・中原早苗・中谷一郎・内田良平・嵐寛寿郎 1966松竹(89分)
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