小林信彦が亡くなった。享年93歳。
学生時代から、映画や文化を見るうえで大切な指標となる人だった。その鋭い批評から、多くを教わった。
寂しい。心よりご冥福をお祈りします。

昨年の初来日公演を見逃し、その後ライブ映像を劇場で観て「次こそは!」と思っていたハンス・ジマー。今年も来日すると知り、喜び勇んで行ってきた。
やはりライブは違う。
凝りに凝った音響と映像、そして圧倒的な迫力。弦楽器、打楽器、声楽など、それぞれの演奏者が主役を張り、まるで一流アスリートたちの競演を見ているようだった。
有名な映画音楽も、いきなり聴かせるのではなく、静かな曲調から徐々に盛り上げ、最後にドーン!とクライマックスへ。うまいなあ。
終演後も頭の中でジマーの音楽がリフレインしている。
今回の日本公演は、ぴあアリーナMMの一夜限り。春までにヨーロッパ17か国50公演を終え、横浜を皮切りにアジア、オーストラリアへとツアーは続く。
西洋から中東まで、さまざまな音楽や楽器、歌声が交錯し、多彩な演奏者たちが一つの音楽を作り上げる。この世界観がやっぱり素晴らしい。
それにしても、これだけ世界をツアーして新作映画の音楽を作る時間はあるのだろうか?
ノーランの『オデッセイ』はルドウィグ・ゴランソンだが、『DUNE/デューン』第3作はハンス・ジマー。
まだまだ映画館で、ジマーの「ドーン!」を浴びることになりそうだ。








今年はどうも雷雲が多い。
雷が近づいてくると、なぜかソワソワしてしまう。
もちろん安全な場所からだが、稲光と雷鳴についつい見入ってしまう。
挙げ句の果てには動画を撮り、編集して、音まで入れる始末。
ほかにやることないのか?
まったくのヒマジンである。
本日はサポート・ドライバーとして、東京の下町まで送り迎え。
送りの後迎えまで少し時間が空いたので、墨田区役所の駐車場に車を入れ、庁舎の入口へ向かうと、突然「おめでとうございます!」の声と拍手が聞こえてきた。
何事かと思ったら、結婚届を提出したカップルへの祝福だった。
今日は「8月8日」。縁起の良い日ということで、区役所の職員の皆さんも一緒になって祝福し、なかなかの盛り上がり。
少子化が深刻になる中、こうして結婚という人生の門出を社会全体で祝うのは悪くない。むしろ、もっとあってもいいと思う。
ただ、拍手で少子化が止まるわけではない。
結婚して、子どもを持って、安心して育てていける。そんな「明るい未来」を若い世代が実感できなければ、いくら少子化対策に予算をつぎ込んでも根本は変わらないだろう。
祝福の拍手は明るくていい。
問題は、その拍手の先に明るい未来がちゃんと待っているのか。
今の日本、本当に大丈夫か?




今回の熊本地震では、イオンモール熊本で発生したガス爆発が大きく報じられている。
その一方で、地震発生直後、店内にいた数百人の来店客を従業員の誘導によって30分以内(10分程度だったという報道もある)に全員屋外へ避難させた対応は、もっと報道や検証の対象となってよいのではないだろうか。
イオンモールの迅速な対応は、日頃から積み重ねてきた防災訓練の成果だったと思う。
能登半島地震の際、私がボランティアに参加させてもらった「のと復耕ラボ」には、イオン労組の方々が数多くボランティアに参加されていた。そのとき、ボランティア休暇を利用して来ていると伺い、企業や行政にはそのような制度があることを初めて知った。
イオンの社員の皆さんは、その後も継続して能登の復興支援に携わっており、社会貢献への姿勢には頭が下がる思いである。
今回の避難誘導は、まさに不幸中の幸いだった。この迅速な対応がなければ、被害はさらに深刻なものになっていた可能性が高い。
一方で、この事故では、何らかの理由で職場へ戻られた従業員7名が犠牲になられたと報じられている。心よりご冥福をお祈り申し上げます。
都内の映画館で、国立映画アーカイブのクラウドファンディングを呼び掛けるチラシを見かけた。
立派なチラシだが、いったいどこが制作費を負担したのだろうか、とまず思った。
国の予算不足を理由にした呼び掛けということで、SNSでも賛否の声が上がっていたが、どうにも釈然としない。
クール・ジャパン政策の失敗は、誰も責任を取ることなく、いつの間にか幕を閉じようとしている。その一方で、漫画やアニメといったコンテンツ産業には、兆円規模ともいわれる新たな支援策を政府が進めようとしている。
もちろん漫画やアニメへの支援を否定するつもりはない。しかし、日本映画を保存し、後世へ伝えるための国立映画アーカイブが、資金確保のためにクラウドファンディングへ頼らざるを得ない現状は、あまりにも寂しい。
今さらながら、日本の映画文化に対する行政の姿勢の貧しさには、嘆くだけでなく、もっと怒りの声を上げるべきではないだろうか。
たとえクラウドファンディングで1億円を集めたとしても、それは一時しのぎにすぎない。その先を、いったい誰が支えていくのだろう。


予告編を観て、「これは観ておかねば」と映画館へ足を運んだのだが、数年に一度出会うかどうかの“ひぇーっ!”となるトラウマ映画だった。
舞台はモロッコ国境沿いの山岳地帯。巨大なスピーカーを並べ、トランス・ミュージックに身を委ねるレイヴ集団の中で、行方不明になった娘を探す父親と息子が軍に追われ、あるレイヴグループとともに次の集会を目指す。しかし、その旅は想像を絶する地獄巡りの始まりだった――。
観ながら、これは明らかにフリードキン版「恐怖の報酬」の影響が濃い作品だなと思っていたのだが、待っていたのはそれ以上の恐怖だった。生きていくには無の境地にたどり着くしかないという絶望を突きつけるトンデモ映画であった。
レイヴという文化も音楽もほとんど知らなかったが、本作ではその強烈なビートが全編を支配し、観終わったあとも耳の奥に残り続ける。
今回はドルビーアトモス対応のドルビーシネマで鑑賞したが、この選択は大正解だった。圧倒的な音響体験が、作品の狂気と没入感を何倍にも増幅していた。まさに映画館で観るべき一本である。
