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映画・落語・写真・ダイビングを中心としたお気楽人生ブログです。

『国民の映画』 PARCO劇場

2011年の初演の時はチケットが買えず、再演となり鑑賞する。
初演では3.11に重なった。
稚拙な感想になるがとても完成された舞台だった。
ナチス・ドイツの宣伝大臣であるゲッペルスは、大の映画好き(特にアメリカ映画)で、『風と共に去りぬ』に負けないような≪国民の映画≫を創ることを理想とする。
ゲッペルス邸のホームパーティで、彼がその≪国民の映画≫を製作発表とする一夜の出来ごと。
歴史上の人物が一同に会して繰り広げる滑稽な一夜は、シュチエーション・コメディに長けた三谷幸喜のお手のもの。
ナチス・ドイツと映画界が舞台なので入魂の舞台であることはオープニングから伝わる。
ゲッペルスは自室に試写室を持ち、チャップリンの次回作『独裁者』を早く観たいと語るのだ・・・
後世に語られる映画を作りたいという映画人の気持ちは良くわかるし、ナチス高官であっても普通に映画を愛するのだ。
映画愛を語る一方でユダヤ人の最終計画を同じレベルで平然と語るところがこの作品の極めつけ。
配役もそれぞれに見せ場をきちんと与えられて演ずる。
登場人物のその後はラストに『アメリカン・グラフィティ』のように語られる。
観終わってから当時の映画史を振り返りたくなりました。

ナチス高官
ヨゼフ・ゲッペルス(宣伝大臣) 小日向文世
ハインリヒ・ヒムラー(親衛隊隊長) 段田安則
へルマン・ゲーリング(空軍元帥) 渡辺徹
マグダ・ゲッペルス(宣伝大臣ゲッペルスの妻) 吉田洋
フリッツ(ゲッペルスの従僕) 小林隆
■映画人たち
ナチスと手を結んだ男 エミール・ヤニングス(映画監督) 風間杜夫
ナチスと敵対した男 グスタフ・グリュンドゲンス(演出家・俳優) 小林勝也
ナチスに恐れられた男 エーリヒ・ケストナー(国民的作家)今井朋彦
ナチスに利用された女 ツァラ・レアンダー(大女優) シルビア・グラブ
ナチスに愛された女 レニ・リーフェンシュタール(若き女性監督) 新妻聖子
ナチスに利用された女 エルザ・フェーゼンマイヤー(新進女優) 秋元才加 
ナチスに嫌われた男 グスタフ・フレーリヒ(二枚目俳優) 平岳大