Like a bird, like a cat, like a fish?

映画・落語・写真・ダイビングを中心としたお気楽人生ブログです。

『或る女』京橋フィルムセンター 

逝ける映画人を偲んで 2009〜2010
文芸作品がお手のものの豊田四郎有島武郎の小説を映画化した。
有島武郎は、白樺派の作家であると国語の教科書で覚えたが、「小さき者へ」「生まれ出づる悩み」など著書は読んでいない。
教科書にあったかもしれないが、まったく記憶にない。
さて、映画だが当時の文芸事情はよくわからないが、このような小説が映画化される映画環境に、当時の観客は大人だったと感じるものがある。
『或る女』の京マチ子演じる早月葉子は、自立した女を目指し、明治末期の女性としては型破りな奔放な生き方をしながら、
その実男性に依存しすぎ、自尊心の高さが災いして遂に精神のバランスを欠き、苦しみながら死んでいく。
京マチ子のダメ女ぶりも徹底していて、男選びもすべて裏目になっていく。
結婚した男(芥川比呂志)は、まったく小説を書かなくなった作家崩れのヒモになり下がり、アメリカに渡った善人(船越英二)に金づるとして、アメリカに渡るが、その渡米中の船の事務長(森雅之)に身も心も投げ打ってしまう。
森雅之の脂ぎった男臭さが妖しい。
京マチ子×森雅之といえば、『羅生門』『あにいもうと』でも共に凄まじい格闘があった。
森雅之が妹の女学生若尾文子に手を出すのではないかとドキドキ。
映画のラストは、身を持ち崩し、病に侵され、狂気のさたで手術台に上がり、「死にたくない」と麻酔が効くまで叫び続ける。
関東大震災の3カ月前に有島武郎は、軽井沢の別荘で愛人と首つりの心中で果てた。発見までに1カ月近く経っており、発見は凄惨を極めたとある。(享年45歳)
森雅之は、その有島武郎の遺児である。
木村威夫さんの素晴らしい映画美術を満喫。
この作品で毎日映画コンクール美術賞を受賞し、自らの腕に自信がもてるようになったという。
豊田四郎の名作『雁』に続き、当時の大映美術に木村マジックは基礎を固めていった。
監督/豊田四郎 原作/有島武郎 脚本/八住利雄 撮影/峰重義 音楽/団伊久磨 美術/木村威夫
出演/京マチ子森雅之船越英二芥川比呂志若尾文子・沼田曜一 1954大映

或る女 (新潮文庫)

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或る女 (ホーム社漫画文庫) (MANGA BUNGOシリーズ)

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