Like a bird, like a cat, like a fish?

映画・落語・写真・ダイビングを中心としたお気楽人生ブログです。

シネマヴェーラ渋谷で『わが生涯のかがやける日』『貴族の階段』の重厚な二本立てを堪能する。


『わが生涯のかがやける日』
森雅之のヤク切れでよだれを垂らして悶え苦しむ表情と滝沢修の背中の刺青と剃り込みの入った凄みのある顔が夢にまで出そう。
戦後の荒廃した風景と悪辣な生き方が魅力的に見えてしまう。
黒澤明の『酔いどれ天使』と同じ年(1948)公開か!
この作品はGHQの検閲で大幅な修正が加えられたという。
何処を変えられたかはわからないが、あのラストは余りにも甘すぎるのではないか。
人間に戻る道筋が見当たらない。
役者が揃っただけに惜しい!


『貴族の階段』
フィルム状況良く、カラーが美しい。
戦前の貴族の優雅な生活と二・ニ六事件との関わりを公爵の娘の視点で描く大作だった。
冒頭の陸軍大将が階段から転げ落ちるところから睡眠薬の使い方など暗喩が効いている。
新興宗教にはまった妻が示さなかった第二の悪魔は何だろう。