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柳家喬太郎×田中泯『死神』紀伊國屋ホール

ホールに着くとちょっと高い高座に驚いた。
これは仲入り後の「死神」のための舞台設定になっていた。
落語の「死神」は、三遊亭円朝がグリム兄弟の「死神の名付け親」を下敷きに創作したといわれている。
喬太郎師匠は、今回ではグリム童話の原点に近い形で演じるとマクラで述べた。
(実際はまだ覚えきってはいないと言っていたが)
緞帳が上がると枯れ木の林に賽ノ河原のような舞台設定。
田中泯氏の死神が舞う!
田中泯の生舞踊は初めて観たが、痩せた風貌に凄味があってまさに死神そのもの。
少し間を置き、喬太郎師匠の登場。
喬太郎師匠の「死神」が始まるが、その高座の周りを死神が舞う!
死神が名付け親ということで、主人公は巳の吉という名があったが、掟破りによって名を取り上げられ思い出せなくなる。
最後に名を思い出したが、それは自分の戒名だったというサゲであった。
喬太郎が倒れこむとその後ろにたたずむ田中泯は最後にニヤリと笑う。
夏の終わりに異界の世界に引き込まれた。
演劇落語又は舞踊落語として貴重な鑑賞会だった。

「のめる」 柳家喬之進
「諜報員メアリー」 柳家喬太郎
−仲入り−
「死神」 柳家喬太郎/踊り・田中泯