Like a bird, like a cat, like a fish?

映画・落語・写真・ダイビングを中心としたお気楽人生ブログです。

『ニュープリントで蘇った名画たち』神保町シアター

『むかしの歌』
石田民三監督の作品を初めて観た。
冒頭のゆっくり移動する蒸気船に歌がかぶさり始まる。
物語は、大阪の何不自由のない商家の娘がたどる思わぬ運命。
江戸から明治になって身分制度も価値観も大きく変わった時代背景が登場人物の生活の中から浮かびあがってくる。
明治の世相と風物が流麗なカメラワークに収められている。
名編を観た充実感に満たされる。
若き日の小津安二郎成瀬巳喜男溝口健二、そして山中貞雄等の活躍した日本映画界の熟成ぶりが偲ばれる作品だ。
助監督に市川崑の名がある。
花井蘭子、山根寿子の美しいたたずまいと口調にほれぼれ。
新藤英太郎はこの時代から変わらず名わき役。
S14('39)/東宝京都/白黒/スタンダード/1時間17分
■監督:石田民三■原作・脚本:森本薫■撮影:山崎一雄■設計:河東安英■装置:西尾安佐男
■出演:花井蘭子、藤尾純、山根寿子、進藤英太郎、高堂黒天(国典)、伊藤智子


『花つみ日記』
神保町シアターの「ニュープリントで蘇った名画たち」で『むかしの歌』に続けて、石田民三監督作品を鑑賞することができた。
両作品とも昭和14年(1939年)の作品である。
この作品は、女学校が舞台で冒頭の校庭で生徒たちが並んで掃き掃除をする風景がなんともリリカルでかわいい。
校庭にいる女生徒たちが、教室であこがれの女先生の弾くピアノの曲が流れてくると、窓下に徐々に集まって合唱となり広がっていくシーンも女子文化の憧憬表現たるもの。
この時代によく表現できたものだと感心した。
高峰秀子と同級生の清水美佐子は大の仲良しであるが、あこがれの女先生への誕生日プレゼントのことで仲たがいしてしまう。
なかなか仲直りの機会が得ぬ間に、高峰秀子は家庭の事情で女学校を退学し芸者になる。
なんとなく『むかしの歌』とも共通するような展開なのだが、少女たちの繊細な心理と生活を描いた情緒豊かな名編であった。
そういえば、高峰秀子成瀬巳喜男監督の名作『流れる』でも、家庭の事情で芸者になっている。

S14('39)/東宝京都/白黒/スタンダード/1時間13分
■監督:石田民三■原作:吉屋信子■脚本:鈴木紀子■撮影:山崎一雄■音楽:鈴木静一■装置:河東安英
■出演:高峰秀子、清水美佐子、葦原邦子、林喜美子、進藤英太郎、三條利喜枝

石田民三監督作品はビデオ・DVDは未発売で観ることができないので残念だ。

流れる [DVD]

流れる [DVD]

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村
にほんブログ村 映画ブログ 映画日記へ
にほんブログ村
にほんブログ村 映画ブログ 名作・なつかし映画へ
にほんブログ村
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村