Like a bird, like a cat, like a fish?

映画・落語・写真・ダイビングを中心としたお気楽人生ブログです。

伴奏付き(弁士無し)と云う生ライブが埋れていたサイレント映画の特性を引き出す!

なんてこったい!ゴールデン・ウィーク後半に八丈島でダイビングを予定していたら雨と強風で飛行機が欠航だ。
神保町シアターサイレント映画の鑑賞に変更。
チケットが売り切れる可能性があるので気持ちを切り替えて急いで神保町へ。
小津安二郎の『その夜の妻』内田吐夢の『警察官』のチケット確保。
喜ぶべきなのか悲しむべきなのか!
複雑な気分の休日。


『その夜の妻』伴奏付き
娘の病気の治療のために強盗を働いた男が我が家に逃げ込むと刑事が後をつけていた。
娘の看病をすべきか、逃亡すべきか。
小津安二郎の珍しいモダンなサスペンスと思いきや夫婦の絆と娘への情愛で引っ張ること引っ張ること。
伴奏の素晴らしさで、最後の最後まで主人公に感情移入し、妻と娘の別れに後ろ髪を引っ張られた。
岡田時彦の娘である岡田茉莉子への小津の寵愛ぶりにつながる。
S5('30)/松竹蒲田/白黒/スタンダード/1時間6分
■監督:小津安二郎■原作:オスカー・シスゴール『九時から九時まで』■脚本:野田高梧■撮影:茂原英雄■舞台設計:脇田世根一
■出演:岡田時彦、八雲恵美子、山本冬郷、斎藤達雄


『警察官』伴奏付き 
もちろん戦前の映画なのだが、『その夜の妻』と同じく現代的でモダン。刑事(警察)もののスタイルはこの時代から既に完成されている。
主人公の警察官と幼馴染みの友人が強盗団の首領
旧交を交わしながらもお互いに腹の探り合い、そしてリリカルな回想シーンがサスペンスを盛り上げていく。
そして、逮捕までのクライマックスでは照明の使い方などサイレントならではの目を見張る場面多し!
ピアノの伴奏がもの映像の素晴らしさを後押しして、観ている観客を圧倒させる。
かたずを呑んで結末を迎えるという劇場体験は久しくしていない。
本当に観ることが出来てよかった!
S8('33)/新興キネマ/白黒/スタンダード/1時間30分
■監督:内田吐夢■原作:竹田敏彦■脚本:山内英三■撮影:相坂操一■舞台設計:水谷浩司
■出演:中野英治、小杉勇、松本泰輔、森静子、生方一平、荒木忍、浅田健二、桂珠子


終了後、ピアノ伴奏者の柳下美恵さんのトークショー。
サイレント映画の伴奏には楽譜はないとのこと。
伴奏者の解釈や気分によって受け止め方が変わるという危険性もあるが、一期一会という映画の新たな文化創成に賛同する。
映画館にピアノが常設という趣旨も目から鱗!
そもそも映画館にピアノを置くという発想が日本にはない。
欧米ではサイレント映画時代からの劇場が今だに残り、ピアノ伴奏付きの映画上映ができる。
文化の違いとはいえ羨ましい。
活弁士は日本映画の独自の発展系で海外でも招聘されたり、脚光を浴びている。
欧米のように劇場にピアノを設置してサイレント映画を伴奏付きで観ることを恒常化して欲しい。
サイレント映画時代の日本映画は1950年代の邦画黄金期時代より世界水準として高レベルのようだ。

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