大人の映画『おとなのけんか』
『おとなのけんか』@日比谷シャンテ
子どものけんかに端をはっして、親同志の二組の夫婦が大人の対応により和解となりそうだったが、
ひょんなことからこじれてきて、夫婦VS夫婦、男VS女、女VS女、男VS男、夫VS妻と次第に隠された本性をあらわにバトルを繰り広げる。
もともと一幕物の舞台劇を映画化したものなので、リアルタイムで80分間カメラは夫婦のマンションの部屋から出ない。
冷静になってエレベーターに乗って退出すれば済むのに、何度か部屋に呼びとめられて会話が進むうちに更に過激に争っていくことになる。
会話の端々からそれぞれの人間性とその背景が想像できるようになっていて、とってもウェルメイドな構成になっている。
ジョディ・フォスター、ケイト・ウィンスレット、クリストフ・ヴァルツ、ジョン・C・ライリー これ以上望めないようなベストなキャスティング!
『ゴーストライター』に続いて、まったくカラーの違った映画を軽快にとるロマン・ポランスキーの職人技はたいしたものだ。
入念なリハーサルによって練り上げられた作品で、今年一番の笑い通しの映画だった。
大人の映画でした。
そうそう会話の間に割り込んでくる携帯電話が重要な小道具になっているが、
コミュニケーションツール(携帯、PC、ツイッターetc)が真逆にイライラにつながる。
これは夫婦間では充分ありえる設定で笑いながらもヤバいなと思った。