Like a bird, like a cat, like a fish?

映画・落語・写真・ダイビングを中心としたお気楽人生ブログです。

『エロ事師より 人類学入門』神保町シアター

はっきりいえばあまり今村昌平監督の作品は好きではない。あのねちっこい作風が好みにあわないからだ。
だがこの代表作とも言われているこの作品は面白かった。
映画は、ブルーフィルムの撮影現場から始まり、男と女がいる限りエロを商売とする男たち。主人公スブやん(小沢昭一)は、警察やヤクザにドツカレながらも真面目に一生懸命にエロを追及していく姿は滑稽ではあるが愛すべき小市民である。
同居人の戦争未亡人(坂本スミ子)とその娘、ドラ息子(近藤正臣!)とのねちっこい関係も今村節ならではのもの。
夫の生まれ変わりと信ずる鮒を水槽に入れて飼っている未亡人は罪悪感からか狂って行く。監督のお気に入りの坂本スミ子はこわい。
この監督、鮒やウナギが好きなのか嫌いなのか?
スブやんは、さまざまなエロの追求の果てに、エロの究極として最上のダッチワイフをつくることを目指すことになる。
制作に夢中になったスブやんの船は、知らずのうちに母なる大海に漂っておしまい。
と思いきやブルーフィルムの上映会に変わっていて、こんなシーンいるのかというようなスブやんの声が聞こえてくる。
猥雑でバイタリティーのある社会風刺劇は当時のキネ旬ベストテン第2位、小沢昭一ブルーリボン賞など主演男優賞を総なめしたとか。
ナットクです。

S41('66)/今村プロ/白黒/シネスコ/2時間8分
■監督:今村昌平■原作:野坂昭如『エロ事師たち』■脚本:今村昌平、沼田幸二■撮影:姫田真佐久■音楽:黛敏郎■美術:高田一郎■出演:小沢昭一坂本スミ子、佐川啓子、近藤正臣、田中春男、菅井一郎、園佳也子

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