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立川志らく独演会 三鷹市芸術文化センター

マクラは「立川談志の奇跡」ということで家元亡きあとの因縁、珍現象?を披露した。
本日の演目については、昼夜別に6席、同じ噺はかぶらないということで志の輔らくごのことをひと言。
たしかにパルコの志の輔らくごは一か月同じ噺だし、他の高座でも聴いた噺がダブルことが多い。
それに対して志らく落語はだいたいいつも違うから油断できない。
昼のトリは何故か志の輔師匠の得意ネタ『柳田格之進』だった。
志の輔版にない背景を知った。
柳田格之進は生真面目な性格が災いして浪人になった。
碁仲間の萬屋の主人との出会いも描かれていた。
この描写から武士と商人の立場の違いが予兆として描かれている。
また柳田が萬屋と別れたあとなぜ出世したかも、冒頭の説明でつながっていた。
志の輔版との最大の違いは人情噺としないこと。
娘を吉原に売ってしまったことは取り返しのできない悲劇である。
これは『文七元結』のように娘の危機をギリギリのところで救ったということにはならないのでもっともなことである。
だから“武士と商人は友達となれるのか”という階級の違いの苦渋に満ちたラストとなった。
同じ立川談志の弟子でこのような解釈の違いがあるのは面白い。
家元版はどのような解釈なのか確かめてみたい。
落語の深さを味わった。
ところで、これは志の輔師匠に対する志らく師匠の挑発なのか?