『石中先生行状記』神保町シアター
川本三郎の選ぶ東北映画紀行という特集が始まった。
川本三郎さんらしいしみじみとした作品が上映される。
成瀬巳喜男監督のこの作品は石坂洋次郎の原作をもとに三話オムニバス構成になっている。
堀雄二と木匠久美子、池部良と杉洋子、三船敏郎と若山セツ子のいずれもカップルの話となっていて、東宝のニュースター勢ぞろいだ。
驚いたことに、成瀬巳喜男作品なのに、人生の重荷や金にまつわる話、うじうじした人間関係がまったくない内容になっている。
のんびりしていて、屈託がなくおおらかな話の展開に思わずこちらもニンマリしてしまった。
あとで知ったのだが、製作が藤本眞澄プロデューサーで『青い山脈』の大ヒットのあとの作品。
映画館で若山セツ子が『青い山脈』を観るシーン(しかも本人が登場している!)があったり、三船敏郎が『青い山脈』を歌い出したりする‼
成瀬巳喜男監督と石坂洋次郎は旧知の仲とのことで、今回映画化されたという。
まずは戦後5年目の明るい希望を求めた国民の要求なのだろう。
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