Like a bird, like a cat, like a fish?

映画・落語・写真・ダイビングを中心としたお気楽人生ブログです。

「猫と庄造と二人のをんな」 神保町シアター

猫好きで有名な文豪の谷崎潤一郎の原作。
先妻(山田五十鈴)と後妻(香川京子)の二人の女をめぐる優柔不断な男(森繁久弥)と男が最も愛情を注ぐのが雌猫のリリーの物語。
タイトルに二人の女とあるがこれに母親(浪速千栄子)が加わり、この三人の女の色と欲の絡み合いが三女優の良さがあってとても面白い!
山田五十鈴の豹変する女の演技も凄いが、浪速千栄子のしたたかな強欲婆さんぶりもおかしい。
もっとも驚いたのが香川京子だ。こんなにエロであばずれな女性で登場するとはびっくりだった。
ほとんど衣装は水着が多く家の中でも裸でいるに近い。
黒澤や溝口映画の健気で芯のあるお嬢さんか良妻役が多い(先日観た成瀬巳喜男杏っ子」もその典型の役柄だった)がこんな役もやるのですね。
さすが名女優!「マンボバカン♪マンボバカーン♪♪」のメロディが耳にこびりつきました。
芦屋の海に近いところが舞台なのだが、海辺のシーンがなぜか懐かしく感じた。フランス映画のようにモダンに見えた。
こんな人間模様に災難にあう雌猫のリリーが素晴らしい。
ちょっと動物虐待すれすれにも見えるのだが、これだけ画面に登場して演技(?)した猫は、映画史にも記録されても良いのではないだろうか。
1956 東京映画 監督/豊田四郎 原作/谷崎潤一郎 脚本/八住利雄 音楽/芥川也寸志 美術/伊藤喜朔
出演/森繁久弥 山田五十鈴 香川京子 浪速千栄子 山茶花究