「セルラー」「50回目のファースト・キス」 池袋・新文芸座
今年見逃した評判のサスペンス「セルラー」を観る。(ロードショーでは2週間で打ち切り)
確かに今年度一番の良くできたサスペンス・スリラーでした。
キム・ベイシンガー扮する主婦が冒頭からいきなり誘拐されて以後サスペンスがずっと持続する。壊された電話をなんとか回線を復活させて救援を求めるところがこの作品の芯であるが、ベイシンガーが科学の教師という設定が説得力をもたせる。恐怖だけではなく知恵も働かせるのだ。
もう一人の主人公である若者クリス・エバンスが携帯電話から助けの電話を受けてひとり奮闘するのだが、もう少しうまくやればすぐ解決するだろうと突っ込みを入れる隙もなくサスペンスが展開する。携帯電話の通話が切れたらおしまいというルールが効いている。
主人公たちに次第に事件の謎がとけていくのだが、それがますます巨悪で絶望的になっていくところが脚本のうまいところ。そこに刑事のウイリアム・H・メイシーが救援の脇役としてからんでくる。(この人の出ている作ははずれが少ない!)
監督のデヴィッド・リチャード・エリスは、「デッドコースター」でも切れ味のいい演出で、もともとアクション専門のセカンド班の監督出身らしい。サスペンスの構図が撮る前から頭に出来上がっているのだろう。
サスペンスの間にさりげないユーモアも欠かさぬ心がけもよろしく1時間35分という上映時間もほどよい。悪役のジェイソン・ステイサムも敵役としては良いのだが、主人公のクリス・エバンスが弱いので大コケしたのだろう。
「50回目のファースト・キス」
「メメント 」「私の頭のなかの消しゴム」「博士の愛した方程式」と近頃、邦洋問わず記憶喪失の障害をもった主人公がはやり。これはコメディで一日の記憶が寝てしまうとすぐリセットされて前の日に戻ってしまうというドリュー・バリモアと彼女を愛してしまうアダム・サナドラーのラブコメ。アダム・サンドラーはアメリカでは人気のあるコメディアンだが、今回はかなりいい男役になっている。しかし、いくら何でもすべて一夜が明けたらリセットというのは説得力がない。最後はどうゆう結末かと思いきやめでたく結婚して、子供まで出来ても変わらなかった。
そりゃないでしょう・・・
映画館をでると巨大な「セルラー」