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[演劇]「ドライビング・ミス・デイジー」 東京芸術劇場

劇団民芸無名塾 奈良岡朋子仲代達矢という両劇団代表同士のコラボレーション。
アカデミー賞を獲った映画で有名な作品であるが、公開時(1989年)に観ただけで、映画音楽は記憶にあるのだが、淡々とした話で詳細はほとんど忘れた。期待と予想できることとが半々。
アメリカ南部のアトランタが舞台でユダヤ人の老女デイジーと黒人運転手ホークの心の交流を描いた作品。舞台は簡潔で、デイジーの部屋、息子の部屋、ホークの運転する車の3点だけが並んである。登場人物も二人のほかは息子(千葉茂則・長森雅人ダブルキャスト)の3人だけだ。
舞台の仲代達矢はやはり良い。彫が深い顔だけに黒人を演じても違和感がない。文盲だか生きる知恵を備え、時には頑固なデイジーをたしなめる軽妙でしたたかな役を演じる。
奈良岡朋子のデイジーは不自由のない生活をして、未亡人になっても頑固に自分の生き方を通そうとするが、黒人のホークを雇うことで、取り巻く世情を少し広く知るようになる。頑固さは変わらないが、ホークを頼らずにはいられない可愛らしさもみせる。
人種差別や公民権運動などアメリカの歴史が背景にあるが、あまり深く描かず、デイジーとホークの信頼と友情に絞っている。人間は必ず老いるという不可避な事実をどう生きていくか、生きていくためには何が一番大切なのかを描いている。
オペラグラスを持ってきてよかった。芝居を堪能できた。