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[演劇]劇団民藝「山猫理髪店」紀伊国屋サザンシアター

別役実の戯曲、海峡にのぞむ流行らない一軒の理髪店が舞台。
海峡ということで海が背景にあり、理髪店は理髪用の椅子と回転塔というシンプルなセットが良い。ちょうど望遠レンズでのぞいた感じの舞台になる。
しかし、この理髪店、土地から追い出され、出前理髪店になるという展開。
出前理髪店が商売になるかといえば、なるはずはない。
登場人物も多彩に出て来るが、それぞれに会話がかみ合わない。
そのうえに電柱からは、謎の「日本人!聞こえるか・・」というアナウンスが聞こえてくる。
久しぶりのお客にカミソリを手にした親方、この主人公である大滝秀治のキャラクターが俊越。
お客の首をかき切ることができる立場いられる職業として理髪店を選んだというラストのせりふ。
60年前の戦争の記憶。
朝鮮(新天地)への帰郷。
古くて新しい問題を不条理に、ブラックに描き出す。
不気味な世界の裂け目はすぐそこにある。
辛口のシュールなスパイスの効いた劇団民藝の新展開。
三谷昇演劇集団円)客演。不条理世界のキーパーソンとしてgood!